2012年1月25日水曜日

遺伝子立体構造を初解明=インフルウイルス

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ウォールストリートジャーナル 2012年 1月 25日 6:41 JST
http://jp.wsj.com/Japan/node_380416

遺伝子立体構造を初解明=インフルウイルス、「新型」で―増殖防ぐ新薬に・東大など

 インフルエンザウイルスの粒子内にある8本の遺伝子分節の立体構造を初めて解明したと、東京大医科学研究所や兵庫大などの研究チームが24日付の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表した。
 観察対象は2009年に流行した「新型」(A型H1N1亜型)だが、さまざまなインフルエンザでウイルスの増殖を防ぐ画期的な新薬を開発する手掛かりになると期待される。

 ウイルス粒子は、ヒトや動物の細胞への侵入・脱出に使うとげ状たんぱく質が表面にたくさんあるウニのような球形(直径約100ナノメートル=ナノは10億分の1)をしている。
 この球形の殻の中に、かりんとうに似た形の遺伝子分節(太さ12ナノメートル)が8本、束になって入っている。

 東大医科研の河岡義裕教授や野田岳志准教授らが電子顕微鏡を使い、コンピューター断層撮影(CT)に似た方法で調べたところ、1本の遺伝子分節は棒状のたんぱく質にリボ核酸(RNA)が巻き付いてできていることが判明。
 遺伝子分節同士は、数本の細いひも(太さ2ナノメートル)で結ばれていた。
 このひもができないようにする薬を開発すれば、ウイルスは遺伝子分節を束ねられず、増殖できなくなる。 

[時事通信社]





NHKニュース 1月25日 5時8分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120125/t10015509301000.html

インフルウイルスの構造解明

 毎年冬に流行するインフルエンザのウイルスについて、東京大学医科学研究所のグループは、世界で初めて内部の立体構造を明らかにすることに成功しました。
 研究チームでは「薬の開発や新型のウイルスができる仕組みの解明につながる」としています。

 東京大学医科学研究所の河岡義裕教授らのグループは、インフルエンザウイルスの内部の構造を明らかにするため、1万分の1ミリ前後の大きさのウイルスを少しずつ回転させながら電子顕微鏡を使って断面を撮影しました。
 そして、120枚の画像をコンピューターで合成して内部の様子を再現した結果、8本ある遺伝子が、少なくとも1か所で、ひものような物質によって互いに連結していることがわかりました。
 インフルエンザのウイルスには、ヒト型や鳥型などがあり、豚などの体内でそれぞれの遺伝子が集まって新型のウイルスになることが知られていますが、研究グループは今回発見した物質がこうした変異に深く関わっているとみています。
 インフルエンザウイルスの内部の立体構造を明らかにすることに成功したのは世界で初めてです。
 ウイルスを撮影した野田岳志准教授は
 「遺伝子を連結する物質を標的にした薬の開発に役立つほか、新型のウイルスができる仕組みの解明につながる」
と話しています。







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