2012年1月28日土曜日

脳残君:開眼! 知識分子は生涯現役だ

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脳残君 2012/01/27(金) 13:28
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0127&f=national_0127_112.shtml

中国人留学生がマンガで描く日本~
開眼! 知識分子は生涯現役だ

  「脳残」君が通う日本語学校は、数学や英語の授業も実施している。
 大学受験に備えさせるためだ。
 そして「驚きの教師」に出会った。
 数学の都筑先生だ。
 埼玉大の数学教授もつとめた先生で、73歳。
 中国ならば、定年を迎えた大学の先生が高校レベルの授業をすることは、ちょっと考えにくい。
 日本は違う。
 年をとっても自分の経験と知識を伝える場を求め、生き生きと活躍している。
 このあたりも日本のすごさではないかと、「脳残」君は考えた。

  授業の冒頭で驚いた。
 都筑先生は、かなりの中国語の使い手だ。
 「私の日本語が分かりますか。
 分からなかったらすぐに「聴不〓(ティンブドン=聞いても分かりません)」と言ってくださいと宣言した。(〓はりっしんべんに「董」)

  自己紹介によると、都筑先生は中国の満州の生まれ。
 敗戦にともない帰国した。
 その後、博士号を取得して埼玉大学の教授として数学を教えた。
 定年で退職してからは、中国の東北地方の多くの大学や高校で教えることもした。

  都筑先生は授業を始めた。
 まず、
 「皆さんは高校で数学を学んだと思います。
 数学は世界の共通言語ですが、用語や用語の読み方は日本語と中国語で全然違います。
 だから、いいかげんな勉強ではダメですよ」
とくぎを刺した。

  「脳残」君にとって、日本の大学に進学するため、数学は受験の必要がない科目だ。
 そもそも、大の苦手。
 ただ、「どんな授業か、1回ぐらいは様子を見よう」と出席した。

  そして、もう一度、驚いた。
 都筑先生の手にかかると“イヤ~な”はずの三角関数も因数分解も、まるで三国志の講談でも聞くように興味を持てる。
 不思議なことに、「脳残」君にも理解できる。
 やっぱり、すごい先生なのだ。

  「脳残」君の父親は、中国でも有名な大学の教授だった。
 すでに定年退職したが、自分の父親が小学校に行って専門の歴史や哲学を教えることがあるだろうか。
 絶対にありえない。
 そもそも、学校側に
 「大学レベルの先生を呼んで、いつもと違う授業を生徒に受けさせよう」
という発想がない。
 定年退職した学者も
 「金に困っているわけではなく、そんなことをする身分でもない」
と考える。

  日本は違う。
 一流の学者が、小学校など「教育の基礎部分」で熱心に活動することがある。
 もう白髪になった「老大家」が、初心者や子どもたちのために、自分の能力をささげる。

  よく考えれば、こういったことが、高度な知識を普及させ、すべての人々のレベルを向上させることにつながるわけだ。
 「脳残」君は、日本のこういうところは「学ぶ価値がある」と実感した。

  今まで「自分には無理」と思っていた数学の内容を理解できただけでなく、
 「日本の知識分子は生涯現役。
 人々のために活躍の場を求め続ける」
と分かったことで、二重に「開眼」したという。

**********

  「脳残」君は、日本にやってきて半年あまり、語学学校に通う中国人留学生のペンネームだ。
 自分自身が登場するマンガ『日在日本』は、中国のインターネットでも人気を集めている。
 掲載サイトには、「日本の真実を教えてくれる」などのファンの声が次々に書き込まれている。

  『日在日本』は作者の了承を得て、日本人読者向けにサーチナでも掲載できることになった。
 「脳残」君の目を通して、中国人がいだく「日本留学の印象」をお伝えしたい。





サーチナニュース 2012/02/03(金) 17:08
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0203&f=national_0203_184.shtml

考えることはアレしかないの?



  西川先生は「脳残」君のクラスの授業を受け持つ先生のひとりだ。
 なかなかの美人。
 ファッションセンスも、かなりのもの。
 話す速度は速射砲で頭がくらくらするが、授業に懸命についていく。
 その理由のひとつが、しょっちゅう「ボーイフレンド・ガールフレンドの会話」という設定で授業を進めるからだ。
 思わず、クラス全員が爆笑してしまうことも多い。

  そんな授業のひとコマ。
 この日の授業も“その手”の会話だった。
 男子学生と女子学生が指名された。
 男子学生は「明日、どこに行こうか」と、女子学生に話しかける。
 デートの打ち合わせという設定だ。
 女子学生が「そうねえ」と日本語の会話としてどう続けるか考えはじめた……。

  とたんに、クラス全員が口をそろえて「ホテル!」と叫んだ。
 女子学生は赤くなってうつむいた。
 こういうシチュエーションで、むしろ困るのは男の方だ。
 「ったく! なんでホテルに行くことばかり言い出すんだ!!!」
と、激怒。あるいは激怒したふり。

  「脳残」君は
 「日本語で“ホテル”と言えば、たいていの場合はラブホテルを意味するんだよ。
 男と女が何をするか……分かるよね」
と解説。
 同級生をさらに怒らせることを避けようとしたのか
 「このふたりが実際に授業の“復習”をしたなんて、ありえないけどね」
とフォローした。




 脳残君のページ。


脳残君 blog
http://blog.livedoor.jp/nozankun/archives/2247915.html

 こんにちは!私は中国から来た留学生の脳残君と申します。
 どうぞよろしくお願いします。
 私は東北地方太平洋沖地震後の2011年5月に来日しました。
 現在「武蔵浦和日本語学院」で日本語を勉強しています。この漫画の内容は全て留学生活の実体験です。
 フィクションではありません。
 ただし、人名は仮名にさせていただいてます。
 毎日更新しています。

 実は、私は日本を愛してる「オタク」です。
 小さい時から、日本の漫画・アニメ・ゲームが大好き! だったので日本に来ました。
 私にとって、「中国は母」、「日本は恋人」だと思っています。
 母と恋人が仲良くなってもらう為に、私は頑張っています。

 私は来年漫画の専門学校でより本格的にマンガの勉強をしたいと思っています。
 だけどその学費は決して安くはありません。
 この漫画を今年中に出版し、その売上を学費に充てられればと考えています。
 この漫画の中国版「日在日本」
(http://mycomic.qq.com/allpage/info.php?artid=124980
は現在連載中です。
 日本と中国のいいものを皆に紹介できたらと思っています。

 残念ですが、私の日本語はまだ上手ではありません。
 多分沢山間違いがあると思います。
 もし、どなたか日本語直するのお手伝いをして下されば、本当に感謝します。
 宜しければ、感想を私のメール(1824428493@qq.com)へ発送してください。
 終わりに、閲覧いただきありがとうございました!




サーチナニュース 2012/02/07(火) 15:40
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0207&f=national_0207_170.shtml

先生まで“萌え~”状態



 日本語学校での1コマ。
 朝一番の授業では、眠気が抜けない生徒もいる。
 そんな中で、妙にはしゃいでいる女子生徒がいた。
 先生も思わず引きこまれて“萌え~”状態。
 「脳残」君によると、日本人は普段は極めて静かだが、突然、はしゃぎだすことがあるという。

  1時間目の授業で先生が教室に到着。
 席に座っておしゃべりに興じる女子生徒。
 授業を始める前なので、先生もにっこりと笑って
 「蘇さん、今日はずいぶんご機嫌ね」
と声をかけた。

  蘇さんはにっこりと笑い、
 「そうなんですぅ。今日は機嫌がいいんです~~」
と返事。
 あまりの屈託のなさに、先生はずっこけた。
 教室の片すみから
 「あ、先生が萌え倒された」
との声。

  体制を立てなおした先生は「ふっ」と苦笑して、
 「歳を取ると、こういうのはちょっとつらいのよね」
とつぶやいた。
 ところがその直後、
 「蘇さんって、本当に子どもっぽくて、かわいいのよね~」
と言い、満面のほほえみを浮かべた。
 「脳残」君、思わず
 「せ、先生も、萌えていますけど」
と、突っ込みを入れた

  日本人は、日本人自身のことを
 「感情表現を抑える傾向が強い」
と思っている場合が多いようだ。
 「脳残」君に言わせれば違う。突然はしゃぎだすことがある。
 たいていの日本人が普段は極めて静かにしているだけに、びっくりしてしまうことがあるという。

  「脳残」君は「ボクの観察によれば」とつけくわえた。
 「日本人は老若男女を問わず、かわいい言葉づかいや動作を好む傾向がある。
 この点は、中国人にないことだ」
という。
 「脳残」君は、日本文化で注目を浴びている“萌え~”な要素について
 「日本人の生活から自然に発生したのだろう」
と推察した。




日本~食べ物の値段、本当は安い! 2012/02/08(水) 15:17
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0208&f=national_0208_123.shtml



  日本留学を目指す中国人にとって、「食べ物の高価さ」は恐怖だ。
 「東京で外食すれば、1食分で80元(約980日本円)」などという情報に接するたびに、「生きていけるのか」と考えてしまう。
 「脳残」君は中国人読者に「安いものもある」と紹介。
 そもそも給与水準を考えれば日本の食べ物は一概に高いとはいえない。
 「日本人民の生活は苦しくなった」と伝える中国の報道について、「ありゃ、いったい何なんだ」と改めて思うのだった。

■中国人留学生がマンガで描く日本

  たしかに、高いものもある。
 例えば高級牛肉。
 人民元で1キログラム500元。
 普通の日本人でもいつも食べられるわけではないと紹介して、
 「ビールを飲ませて音楽を聴かせて育てた牛の肉。
 もしかしたら紙幣の味がするのかな」
とボケてみせた。

  次に米。
 1キログラムで人民元では32元。
 規制により外国産の米があまり出回っていないと紹介した。
 ようやく探し当てた「混合米」は1キロ当たり16元。
 それでも高い。
 「脳残」君は「本当のことを伝えなきゃ。
 (日本の米は)中国の米よりおいしいよ」と紹介した。

  逆に、安いものは食パン。
 スーパーを探せば、350グラム85円、人民元で7元程度。
 賞味期限に近づけば、さらに4割引きになることも。

  もやしは衝撃の激安商品だ。
 1袋17円。
 つまりたったの1元。
 アルバイトが見つからず、もやしばかり食べてしのいだ中国人留学生もいる。
 「毎日もやしばかりで、オレの体ももやしみたいになっちまったぜ」
とぼやいたそうだが、それでもなんとか生きのびられた。

  鶏肉も安い。
 100グラムで63円。
 スーパーの閉店間際には3割引きになる。
 中国国内より安いではないか。
 「脳残」君の試算によると、鶏肉、もやし、鶏卵の炒め物を作れば、光熱費を含めて150円。
 栄養もあって、実に安くあがる。

  炒め物と言えば、油も必要なのだった。
 日本では、サラダ油1キログラムが人民元相当15元で買える。
 中国では値上がりが著しく、「(広東省にある「脳残」君の実家あたりでは)20元するようになった。
 日本の方が安い。

  「脳残」君は、
 「しかも、日本の油は下水油ではないよ」
とつけくわえた。

  ここまで調べて、「脳残」君はハッとした。
 日本人の平均的サラリーマンの給与水準は、中国人の何倍もする。
 同時に、かつて見た日本のアニメを思い出した。
 傷つき疲れ果てたヒーローに美少女が言った。
 「私いったい、どうすればよいの」と。
 ヒーローは言った。
 「笑った顔を見せてくれればいいのさ」 ――。

  話がそれたが、「脳残」君が言いたかったのは、中国の報道だ。
 「日本人民の生活は、極めて苦しくなった」
と繰り返していた。
 実際はどうなのか。
 笑ってしまった。
 「何を笑っているかだって? 
 説明はしないよ、君にはわかるでしょ」
と「脳残」君は書いた。




アニメ学校で数々の発見 2012/02/09(木) 17:27
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0209&f=national_0209_164.shtml



  「脳残」君は東京にあるアニメの専門学校にやってきた。
 体験入学のためだ。
 卒業生の記念展示を見て、有名漫画家を輩出している学校と知った。
 体験授業では、マンガを描いた。
 日本語にはまったく自信がなかったが、先生方に評価してもらった。
 自分のレベルに自信を持てた。
 そして、親切に接してくれる先生の姿勢を見て、
 「見知らぬ人であっても分け隔てなく助ける。これが日本人だ」
と改めて感じた。

■中国人留学生がマンガで描く日本

  学校側の
 「7年連続で卒業生の就職率は100%」
との説明を聞き、大したものだと感心。
 卒業生の記念展示を見れば、有名漫画家のオンパレード。さらに感心した。

  体験授業では、ストーリー漫画の作製を指示された。
 「日本に来てまだ、3カ月なんだよ~。
 日本語でストーリーを書けだって!?」
と心の中で“ビビッて”しまったが、とにかく完成させた。

  「日本人には分かりにくい日本語」の部分もあったが、先生方は高く評価してくれた。
 中国人にとってはなじみ深い武術を扱う作品の「武俠(ぶきょう)もの」の要素を取り入れたが、日本人はその部分を新鮮と感じることが分かった。
 これは自分にとって大きな“武器になる”と分かった。収穫だった。

  ちなみに、同校が保管している卒業作品を見せてもらったが、自分の今のレベルは、すでに遜色(そんしょく)ないと思った。
 自信を持てた。

  先生方との意思疎通では妙な体験もした。
 「オタク族が喜びそうな作風だねえ」
と言われたので、
 「はい。私はオタク男ですから」
と言ったら大笑いされた。
 なぜだかよく分からない。
 「自分自身をオタクというのは、おかしいのかなあ」
と思った。
 よく考えたら、外国人が妙な中国語の使い方をしたら、中国人だって笑ってしまうだろう。
 あまり気にしないことにした。

  あまりよく分からない理由で笑われたということはあったが、日本人の先生方は親切に、いろいろと手助けしてくれた。
 ここが、中国人とは違うところだ。

  中国人は、相手に対して好感を持っていれば、手助けをする。
 見知らぬ人には「知らんぷり」だ。
 日本人は違う。
 まず、規則どおりにものごとを進める。
 そして、相手が正当なことをしているのなら、分け隔てなく助ける。
 仕事について言えば、自分の職権の範囲内なら、見知らぬ人に対しても、自分の知り合いに対するのと同じように手助けをする。

  こういった角度から見れば、日本人は極めて親切と言える。
 留学前に「日本人は冷たい」と聞いていたが、そうではなかった。
 少なくとも「脳残」君の場合は、日本で留学生活を始めてからずっと、多くの日本人に助けてもらっているという。




キッチリした防災教育に感心 2012/02/15(水) 17:54
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0215&f=national_0215_192.shtml



  これも「脳残」君が来日して間もないころのエピソード。
 日本語学校に消防署の人がやって来た。
 防災教育のためだ。
 この分野で、日本はキッチリしていると感心した。
 ついでにもうひとつ。
 翌日のことだ。
 日本では“この分野”もキッチリ配慮することになっていると、「脳残」君は説明した。

■中国人留学生がマンガで描く日本

  日本語学校で防災の授業があったのは6月のこと。
 「脳残」君が来日した翌月だ。
 東日本大震災の関係があり、日程を繰り上げて実施したという。
 「脳残」君のクラスの生徒はまだ日本語能力が不足しているので、先輩が通訳してくれた。

  最初に登場したのは若い男性。
 身長180センチメートル以上はあり、「精悍(せいかん)な消防士」という雰囲気だった。
 制服や装備も「いかにもプロ」だ。

  若い消防士は消火器の使い方をていねいに教えてくれた。
 操作もさせてもらった。
 「脳残」君は「オタク」の本領発揮。
 ご自慢のアイフォン4(iPhone4)で消火器を操作する同級生の写真をとりまくった。

  次にやや年配の、温和な顔つきの消防士が説明を始めた。
 「どうして、2人も出てくるの?」
と、意味がよく分からなかった。
 しかし今度は、火災発生時に避難するときの4原則の
 「おかしも(=おさない・駆けない・しゃべらない・もどらない)」や
 「普段から、食料と飲料水3日分と生活用品などを用意しておく」、
 「地震の時は窓を開ける、火災の時には閉める」
など、非常時を乗り切るための知恵を教えてもらった。

  その他にも、
 「地震時にはエレベーターを使わない。
 乗っていたら、(できるだけ早く降りるために)すべての階のボタンを押す」、
 「避難訓練を軽視してはいけない」
など、さまざまなことを教わった。

  防災授業は1時間続いた。
 日本の消防関係者は相当に専門的な国民教育をしていると感じた。
 「少なくともボクは中国国内で生まれてこのかた、こんな授業を見たことがない」
という。

  翌日のことだ。
 学校の先生が「脳残」君に声をかけた。
 防災の授業風景を学校のホームページに掲載することにした。
 ついては、「脳残」君が写っている写真を使いたいという。

  「脳残」君は中国人読者向けに、
 「日本人では個人のプライバシーについて非常に厳格。本人の承諾を得なければ、写真を勝手に使うことはできない」
と説明した。

  先生の話を聞いた同級生がはやしたてた。
 「おい、有名人になれるじゃないか」、
 「学校のイメージキャラクターだぜ。
 なにか“ご感想”は?」
などの言葉が浴びせかけられた。

  考えてみれば「脳残」君は防災の授業中、他人を写しまくっていた。
 学校の先生に写されていて、しかもホームページに使われることになるとは思わなかった。
 こう見えても、「脳残」君は内気な「オタク・キャラ」だ。
 赤面してしまったが、
 「自分も撮影していたんだから、何かの因果かも。ま、いいか」
と納得した。



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http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0308&f=national_0308_123.shtml&pt=large

 「脳残」君は広東省の出身だ。
 日本留学に際して、故郷に妻を残してきた。
 美人でしっかり者、「脳残」君を心から愛す自慢の奥さんだ。
 しかし、生涯にわたって「申し訳ない」と思わねばならないことが生じた。
 留学前から分かってはいたことだが……。
 「脳残」君は、「だからこそ、猛勉強せねばならない」と、改めて決意した。




サーチナニュース 2012/03/14(水) 15:43
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0314&f=national_0314_087.shtml

一番美味しかったパン



拡大写真

  だれにでも、失敗はある。
 そんな時に助けてもらえれば嬉しい。
 感謝の念も湧いてくる。
 見知らぬ人ならばなおさらだ。
 「脳残」君も、うっかりして物を無くしてしまった時の、見知らぬ日本人の親切に、心の底から感謝・感動した。
 そして、「どうして日本は無くした物が戻ってくるのだろう」と考えた。

  「脳残」君は学校に行く途中、24時間営業の100円ショップで食パンを買った。
  店を出ようとした時、雨が降りだした。
 そこで、持っていたレインコートを着た。
 そのために、店の出口のところにあったカプセルトイ販売機、いわゆる「ガチャガチャ」の上に食パンを置いた。
 そして、忘れてしまった。
 気づいたのは、学校に着いてからだ。

  消費税込みでわずか105円にすぎないが、惜しいし悔しい。
 中国での常識では「出てくる可能性は、限りなくゼロ」。
 でも、ここは日本だ。
 「無くした物の半数以上は戻ってくる」と聞いている。
 とにかく、学校が終わってから、店に駆けつけた。

  「ガチャガチャ」の上を見た。ない。
 「しかたないか」と、あきらめかけた時だ。
 店の入り口のところで、他の人とおしゃべりをしていたやや年配の女性が「これ、あなたのでしょ」と、食パンを渡してくれた。
 たしかに、なくした品と同じだった。

  「脳残」君によると「いまだに分からない、不思議だ」という。
 なぜ、自分がなくしたものと知っていたのか。
 しかも、食パンを置き忘れて店を去ってから、何時間もたっていた。
 食パンを渡してくれた女性は服装からして、店員さんとは思えないという。
 「脳残」君はつぶやいた。
 「日本人の神秘だ」――。

  「脳残」君には、中国にいたときの苦い思い出がある。
 妻とまだ結婚する前、プレゼントしようと思って、ゲーム機のプレイ・ステーション・ポータブルを買った。
 うっかりして、途中の道に落としてしまった。
 すぐに気づいて、落としたと思われる場所に戻った。
 2分もたっていなかったはずだ。
 しかし、影も形もなかった。

  「脳残」君は、戻ってきたパンを食べた。
 人の情けが身にしみた。
 ありふれた食パンだが、とりわけおいしかった。

  「脳残」君は最後に語った。
 「ボクの頭に問題があるのか、日本に来てから無くし物ばかりしている。
 財布をなくしたこともある。
 かなりのお金が入っていた。でも、無くした物は全部戻ってきた」
という。

  どうして、日本では無くした物が戻ってくるのか。
 人々が豊かということもあるのだろう。
 それは否定できない。
 しかし、法律や人々の意識がしっかりしていることは見逃せない。
 「拾得物は自分のものでない。
 勝手に取ったら犯罪になる」
ということを、皆が知っている。
 「脳残」君の結論は
 「日本のような社会環境ならば、だれもが自分の顔に泥を塗るようなことはしたくないだろう」
ということだった。




サーチナニュース  2012/03/22(木) 16:45
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0322&f=national_0322_110.shtml

堕落した資本主義国?



  「脳残」君は、自分が通う日本語学校の寮を紹介した。
 中国の常識から言えば、防犯には神経を使っていない。
 しかし、日本ではそれが普通だ。
 思い出してみれば、中国の自宅では鉄格子を破って「賊」が侵入した。
 「脳残」君は、どちらの国の方が住みやすいのかと考えた。
 そして、一部の教科書には「腐敗・堕落した資本主義の国家」などと書いているが、
 「ヨソの国のよい点を学んで、自国に持ち帰るのが留学の意義だよなあ」
と改めて考えた。

  「脳残」君が住む寮は、日本語学校が所属する財団の所有だ。
 光熱費などを含めて家賃は1カ月3万円。
 調理器具なども備え付けられており空調もある。住み心地は「爽快だよ!」という。

  建物入り口はオートロック方式だ。
 「脳残」君は
 「中国では、あまり見かけないよね」
と言ってから
 「暗証番号は軍事秘密。殺されても言うわけにはいかない」
と、おどけて見せた。

  と言っても、中国人の常識から言えば、抜け穴だらけ。
 建物の別の部分から、柵の間をすり抜けて侵入しようと思えばできる。
 「脳残」君が住んでいる4階部分のドアは、「24時間開放」だ。
 「脳残」君は
 「なぜかと言えば、必要ないから。
 物が紛失したことはない」
と紹介した。

  「脳残」君は、故郷で暮らしていた2010年3月22日の出来事を思い出した。
 夜中にトイレに行くと、廊下の床にかばんや財布、PSP(プレーステーションポータブル)のケースが散らばっていた。あれ?
 と思って窓を見ると、防犯用鉄格子が切断されていた。

  実に「和諧」でない光景だった。
 ちなみに、「和諧」とは「調和」の意。
 社会の調和、人と自然の調和を強調する中国政府のスローガンだ。

  盗まれたのは、現金わずか100元(約1318円)だけだった。
 「本当によかった!」と思えたのは、PSPの本体が無事だったことだ。
 「脳残」君と奥さんは床運動のエクササイズを行っていて、その伴奏音楽を鳴らすので寝室に置いていたからという。

  それにしても、「脳残」君の自宅マンションは窓の鉄格子だけでなく、玄関にも重さが何キログラムもある鉄製の防犯ドアをつけている。
 しかし、「賊」は入ってくる。

  中国では、「腐敗して堕落した資本主義国家」などと説明する教科書がある。
 一方、日本では24時間、入ろうと思えば比較的楽に入れる寮の中で、人は枕を高くして寝ている。
 中国で治安について理想とされる
 「路不拾遺,夜不閉戸(道に落ちている物を拾う者はいない。
 夜でも扉に鍵をかける必要はない)」
という状況を実現しているのはどちらの国なのか。
 両国の大いなる差を感じ、「脳残」君の目からは涙が流れ出た。

  「とにかくヨソの国のよい点を学んで、自国に持ち帰る。
 それが留学の意義だよなあ」
と、「脳残」君は改めて考えた。

**********

◆解説◆
  「脳残」君の、日本の治安に対する評価は「高すぎる」とも思えるが、来日した中国人の多くは「日本の街は中国に比べて安心して暮らせる」と話す。
 「どの国でも悪い人がいるのは同じ。
 ただし平均的な民度は日本の方が相当に高いので安心できる」、
 「一緒に歩いていた同級生が、バッグを引ったくられた。
 警察に電話で通報すると3分ぐらいでパトカーがやってきた。
 日本の警察の対応の早さには驚いた」
などの声がある。

  ただし、中国人女性からは
 「日本では東京でも夜になると人通りがほとんどなくなる通りがある。
 やはり恐い。
 中国の大都市なら、どこに行っても人が多いので比較的安心できる」
との意見も聞かれた。







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