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●宇宙ごみとなった使用済み衛星(左)をつかもうとしている掃除衛星の想像図(ローザンヌ工科大提供)
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2012年2月17日07時24分 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20120217-OYT1T00022.htm
宇宙ゴミ掃除衛星…つかんで一緒に大気圏突入
スイス・ローザンヌ工科大の宇宙センターは15日、使用済みの人工衛星やロケットなど
「宇宙ごみ」を掃除する衛星の開発計画
を明らかにした。
実現すれば世界初。
3~5年後の実用化を目指し、企業などに資金提供を呼びかけている。
同センターによると、宇宙ごみは年々増加。直径10センチ・メートル以上のものだけで
約1万6000個
に上り、秒速数キロ・メートルで飛んでいる。
運用中の衛星などに衝突して破壊し、ごみの数をさらに増やす恐れがある。
掃除衛星はロケットで打ち上げられた後、地球周回軌道で宇宙ごみをつかみ、一緒に大気圏に突入して燃え尽きる。
ただ、回転している宇宙ごみをつかむ方法など、今後開発しなければならない技術もある。
同センターは、初号機の開発と打ち上げに1000万スイスフラン(約8億5000万円)の費用を見込んでいる。
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asahi.com 2012年2月20日1時32分
http://www.asahi.com/special/space/TKY201202190269.html
宇宙ごみ掃除計画 投網・ロボットアーム利用も
宇宙ごみを取り除く様々なアイデア
ロケットや人工衛星の破片など地球の周りを漂う宇宙ごみ(スペースデブリ)の回収実験に、スイス連邦工科大ローザンヌ校のチームが乗り出す。
ロボットアームのような装置でつかみとり、大気圏まで運んで燃やす。
宇宙ごみの問題が深刻化するなか飛び出した、SF小説のようなアイデアだ。
15日に発表された計画では、4本の指のようなもので宇宙ごみをつかむ回収装置を備えた人工衛星を打ち上げ、高度630~750キロにある10センチ角の超小型衛星の捕獲・回収を試みる。
大気圏まで運んだ後、宇宙ごみだけ切り離して衛星は再利用するか、ごみもろとも燃やすかは検討中という。
約1千万スイスフラン(約8億6400万円)の開発費を見込んでおり、2015~16年に予定される実験では企業の参加も募り、将来的にはビジネス化したい考えだ。
高度600キロ前後の衛星や宇宙ごみは東京―大阪間を1分間で移動するのに等しい時速2万8千キロでさまざまな向きで回っており、衝突時のエネルギーはすさまじい。
日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)を含め、世界中で宇宙ごみ除去の研究がされ、綱をつないで減速させて落とす方法や、投網のようなもので捕獲する方法、地上からレーザーを当てる方法などが提案されているが、費用がかかることなどから実用化されていない。
今回、回収技術の詳細は明らかにされていないが、チームは
「植物や動物が物体を捕まえる時の動きを参考にしている」
としている。
米航空宇宙局(NASA)によると、地球の周りには直径10センチ以上の人工物体が2万個以上あるが、ほとんどは宇宙ごみ。
国際宇宙ステーション(ISS)にぶつかりそうになる事態も度々起きている。
ISSは防護板があり、直径1センチの物体の衝突には耐えられるが、もっと大きいとよけるしかない。
昨秋には米国とドイツの古くなった衛星が大気圏に落下、破片が地表に到達すると予想され、警戒態勢が取られた。
09年に米国の通信衛星とロシアの古くなった軍事衛星が衝突、1千個以上の破片が出るなど、宇宙ごみは今後も増えると予想されている。
現在、新たに打ち上げる人工衛星は、使い終えた後に軌道を意図的に下げ、安全に大気圏に落下させる措置が通常取られる。
宇宙ごみが地上に落下して被害が生じたりした場合、打ち上げ国が賠償する責任を負うことにもなっている。
だが「宇宙掃除」の責任などは明確に定まっていない。
日本も参加し、衛星などが宇宙ごみにならないようにするための国際指針作りが国連の宇宙空間平和利用委員会で進んでいるが、根本的な解決方法は見つかっていない。(行方史郎=ワシントン、田中誠士)
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