2012年2月6日月曜日

中国人を狙った襲撃が相次ぐアフリカ =百万人の中国人を守れ

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レコードチャイナ 配信日時:2012年2月5日 16時15分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=58493&type=0

中国人を狙った襲撃が相次ぐアフリカ
=100万人の在アフリカ国民を守れ
―中国メディア

 2012年2月4日、人民網は記事「中国人100万人が滞在するアフリカ=国民の海外安全保障の整備が待たれる」を掲載した。

 旧正月明けからアフリカでは中国国民を狙った拉致、拘束事件が相次いだ。
 1月31日、エジプトでは中国セメント工場の労働者が25人が武装勢力に拘束された(すでに全員が解放されている)。
 28日にはスーダンで道路建設作業員29人が拉致され、今なお解放されていない。
 アフリカには100万人の中国人が滞在し各種ビジネスに携わっている。
 さらに数万人の労働者がインフラ建設に従事している。
 彼ら在外中国国民の安全保障体制確立が不可避の課題である。

 21世紀に入り、中国・アフリカ関係は黄金の10年を迎えた。
 貿易額は2000年の100億ドル(約7630億円)から11年には1600億ドル(約1兆2200億円)にまで拡大した。
 中国・アフリカ関係は今後も更に繁栄するだろうが、
①.投資リスク、
②.治安リスク、
③.政変リスク
という3つのリスクが、アフリカに住む中国人100万人の課題となっている。

 外交官の数で見ると、米国は在外国民5000人につき1人という比率なのに対し、中国は10万人あたりに1人と少ない。
 在外公館を強化し、リスク予測を徹底し、現地と協力して対応することが必要だ。
 100万人の在アフリカ中国人の安全を守るための急務である。


 なんとまあ、アフリカには百万人の中国人が滞在しているという。
 それに対して外交官の数は十数人。
 これはヤラレルよな。
 というより狙ってくださいと言っているようなもの。
 どうして、こうなってしまったのだろう。



JB Press 2012.02.03(金)宮家 邦彦
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34453

アフリカで露呈した中国のお寒い危機管理能力
スーダン・エジプト拉致事件~中国株式会社の研究

 2月1日、エジプトで武装勢力の人質になっていた中国人25人が解放されたという。
 拉致されたのが1月31日だから、わずか1日のスピード解決だった。
 一方、その3日前の1月28日から、スーダンでも29人の中国人が拉致されている。
 可哀想に、こちらの方は2月2日現在も依然未解決のままだ。

 なぜ今、アフリカで、中国人労働者たちが立て続けに人質となるのだろう。
 この2つの騒動は偶然同時期に起きたのだろうか。
 今回は、最近エジプトとスーダンで起きた不幸な中国人拉致事件を比較しながら、最近「中国株式会社」が力を入れている「海外進出」の光と影について検証してみたい。

■異なる2つの人質事件

 二十数人の中国人拉致という点で両事件は確かによく似ている。
 しかし、筆者にはこれらが全く異なる2つの人質事件に思えてならない。
 この点をご説明するためにも、エジプト、スーダン両事件の事実関係をもう少し詳しくご紹介することにしたい。

 エジプトのケースはシナイ半島が舞台だ。
 地中海に面した同半島北部にはエル・アリーシュ(El-Arish)という美しい小都市がある。

 30年ほど前筆者が通りかかった頃はまだ小さな漁港だったと記憶する。
 当時はまさか、あの町が青い水と白い砂浜で有名なリゾート地に変身するとは思いもしなかった。

 事実関係は次の通りだ。
 カイロの中国大使館によれば、拉致された中国人は現地のエジプト軍セメント工場で働く作業員24人と通訳1人の合計25人。

 1月31日午前にバスで建設現場に向かう途中、現地の「ベドウィン」に拉致されたという。
 彼らを雇っていた中国企業名は今のところ報じられていない。

 犯人たちはエジプト政府に対し
 「拘束されている仲間・家族の釈放を要求した」
とも報じられたが、2月1日未明、拉致された25人は一転全員が解放された。

 この間、中国外交部はエジプトに対し拉致された中国人の安全確保と早期解放、エジプト駐在中国企業・中国人の保護強化などを求めていたという。

 これに対し、スーダンは状況がちょっと異なる。
 拉致事件が起きたのは1月28日、場所はスーダン南部の南コルドファン州アッバスィーヤ(Abbasiya)だそうだ。

 グーグル・マップで見ると、最近独立した南スーダンとの国境からもそう遠くない。
 実はこの位置関係こそがエジプトの拉致事件と最も異なる点である。

 人質となった29人の中国人が働いていたのは水力発電所建設が専門の国有企業、中国水利水電建設集団公司だ。

 中国は、文字通り「あらゆる」手段を用いて、スーダンで石油など資源確保のための開発事業や道路などのインフラ建設を精力的に進めてきたと言われる。

 バシール・スーダン大統領はダルフール事件を含む多くの難民虐殺の首謀者として国際刑事裁判所から訴追されている。

 中国はこの大統領を公然と支持する一方、原油積み出しをめぐりスーダンと南スーダンとの対話仲介まで行っている。
 南コルドファン州で中国の評判が良くない理由の1つがこれなのだ。

■政治的背景の有無

 拉致事件発生から3日過ぎた1月31日、中国外交部次官は北京のスーダン臨時代理大使を召致し、今回の事件で中国側は
 「深い衝撃を受け」、
 「スーダンが中国との2国間友好関係の全般的状況を勘案することを求める」
と述べた旨発表された。
 異例とまでは言わないが、ちょっと珍しい表現ではないか。

 「全般的状況を勘案することを求める」
とは、
 「人質解放に協力しなければ、スーダンに対する経済協力を打ち切ってもいいのだぞ!」
という半ば「脅し」に近い外交的表現にも聞こえる。

 今や海外に派遣した中国人労働者を大切にしなければならない中国政府の切羽詰まった危機感が伝わってくるではないか。

 中国はなぜそんなに心配するのか。

 恐らく、
●中国がスーダン国内で怪しげな政治的取引に深く関与しているらしいこと、
●そうした中国の動きを南スーダン人はもちろん、多くのスーダン人も苦々しく思っていることを、
中国政府関係者自身が自覚・懸念しているからではないか、などと思わず勘繰ってしまう。

 ちなみに、拉致事件が起きた翌日の1月29日、中国人民政治協商会議の賈慶林主席はエチオピアで開催された第18回アフリカ連合(AU)総会で、
 「外部勢力がアフリカ内政に干渉すれば問題の解決が複雑になる」
と述べたそうだ。
 これほどパンチの効いたブラックジョークを聞くのは久しぶりである。

 南コルドファン州で攻撃を行った武装勢力は「スーダン北部人民解放運動」(SPLM-N)、スーダン政府軍護送隊を攻撃して、政府軍兵士9人とともに中国人29人を拉致したという。

 SPLM-Nといえば、スーダン内戦時代から南スーダンを支持してきた、あの筋金入りの抵抗組織ではないか。

 これに比べるとエジプトの事件に政治的背景は感じられない。
 犯人はアルカイダ系との報道もあったが、そうであれば人質が無事解放される可能性は低いはずだ。

 恐らく犯人は「ベドウィン」、原因も経済的に疲弊した地元エジプト人が中国人の無神経な態度に反発して身代金を狙っただけなのかもしれない。
 もちろん真相は誰も喋らないだろうが・・・。

■海外進出のパターン

 こうした事件報道を読みながらつくづく思うことは、「中国株式会社」の「海外進出」の特徴とその限界だ。

 中国は海外での経済活動、特に資源確保のために行う投資や開発という点では最も後発組である。
 安定した資源供給先は既に先進国に独占され、「美味しい」開発先には食い込めないのが現実だからだ。

 このように「中国株式会社」の「海外進出」には常にハンディキャップがつきまとう。
 以上を前提に中国政府・企業による海外活動が陥る典型的パターンを幾つか列挙してみよう。

 欧米諸国が懸念する「中国の新アフリカ植民地主義」などとは異なる「中国株式会社」の真の脆弱性が見えてくるようで実に興味深い。

●中国の資源関連海外進出先は、紛争・係争地、治安の悪い地域、欧米諸国との関係悪化が伝えられる国家など治安面で問題のある場所が少なくない

●中国の海外進出は国内雇用対策でもあるため、多くの中国企業は現地の市場、労働力を尊重することなく、中国から直接労働者や資機材などを送り込み、一種の「中華圏コロニー」をつくる傾向がある

●さらに、中国企業は中国国内と同様のビジネス手法(すなわち贈賄、不正、政治的コネ)を現地に持ち込むことが多いため、現地社会との間で必要以上に摩擦が生じる可能性がある

●一定の地域に集中して居住し、しかも独自の生活文化を維持して現地社会と交流しない中国人労働者コミュニティーは、地元住民による怨嗟、反発、報復の格好の対象となる可能性がある

 何よりも不幸なことは、進出先の治安が不安定であるにもかかわらず、中国企業が労働者のために十分な警備対策を講じないケースが多いことだろう。

 そもそも海外市場で競争する中国系企業の強みはその価格の安さだ。
 治安維持に必要なコストなど最初から節約対象となっているのかもしれない。

 2004年春、イラク戦争後の混乱状態にあったイラクで中国人家族に出会ったことがある。
 驚いたことに彼らは一切武装せず、警備要員も皆無だった。

 着の身着のままバグダッドにやって来て、何と中華料理屋を営んでいた。
 彼らの生命力には脱帽するばかりだが、あれから8年、彼らは今何をしているのだろう。

 一般に中国人は政府を信じない。
 政府が国民を守ってくれた経験の乏しい人々に政府を信じるよう求める方が無理かもしれない。

 そのような国の国営企業にとっては労働者保護など二の次だったのかもしれないが、少子高齢化が進みつつある現在の中国でそのような経営態度はもはや通用しないだろう。

 中国の対外直接投資額は2010年で680億ドル、3年間で3倍以上に増えたという。
 ある統計によれば、在外中国人労働者総数は2010年で85万人弱、その4分の1近い約23万人がアフリカで働いており、スーダンだけでも2万4000人の中国人がいるという。
 海外経験のある中国人は急速に増えているようだ。

 それでも中国は簡単には変わらないかもしれない。
 海外現場に送られた中国人出稼ぎ労働者たちが現地の社会や文化を受け入れる素養を持たない限り、彼らと現地社会との摩擦はなくならないだろう。

 どうやら、中東・アフリカにおける中国人労働者の受難はこれからも続きそうである。合掌。



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