2012年3月5日月曜日

一人暮らしと世帯持ち、大きく異なる「遺産」への考え方

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●  「遺産についてどのような考えを抱いているか」



サーチナニュース 2012/03/05(月) 07:29
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0305&f=column_0305_001.shtml

一人暮らしと世帯持ち、大きく異なる「遺産」への考え方

 金融広報中央委員会の「知るぽると」は2012年2月22日、
 【家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](2011年)】【家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯](2011年)】
を発表した。
 発表資料では主にお金のやりくりの視点から見た、一般世帯の動向を推し量れる数多くのデータが開示されている。
 今回はその中から、「遺産に関する想い」について焦点を当てることにする。

 今調査は直近のものについては「二人以上世帯」が2011年10月7日~11月14日に層化二段無作為抽出法で選ばれた「世帯主20歳以上で世帯員2人以上」世帯に対して訪問・郵送の複合・選択式で行われたもので、有効回答数は3800人。
 「単身世帯」は2011年10月14日から27日にかけて、「20歳以上70歳未満、単身で世帯構成」世帯に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2500人。
 過去もほぼ同形式で行われているが、「単身世帯」調査は2007年以降に限定されている。

  額によっては小説やドラマの素材となり、そして現実でも多種多様な問題を引き起こすことになる「遺産」。
 多くの人が「(金融)資産」を直に感じる数少ない機会となるだけに、「家計の金融行動に関する世論調査」でも調査対象項目として取り上げられている。

  今件では
 「遺産についてどのような考えを抱いているか」を
、主に財産処分方法と、子供に残すか否かの視点から選択肢を創り、選ばせている。単身世帯・二人以上世帯それぞれに聞いた結果が次のグラフ(上に掲げたグラフ)。

  単身世帯での最多回答は「子供がいない&人生を楽しみたいので財産使い切り」派。
 一方二人以上世帯では「老後の世話か稼業引き継ぎなどの条件無しに、子供に財産残したい」。
 それぞれ「一人もの」か「子供が居る(今は居なくとも将来的な話も含む)」かで、遺産への考え方が大きく異なってくる状況が良く分かる結果といえる。
 要は「残す相手がいなければ自分で全部使い切りたい」
 「残す相手が居ればとにかく残したい」ということ。

  他方、「稼業引き継ぎ」を遺産相続の条件に挙げている人はごくわずか。
 元々引き継ぎが必要な稼業をしている人が少数ということもあるのだろうが、遺産をネタに稼業引き継ぎを「強要」することを是とはしていないようだ。
 一方で交換条件的に何かを呈する選択肢としては、
 「老後の世話をしてくれれば遺産を」
とする意見が、二人以上世帯で2割近くに達している。考え方としては現実的。

  気になるのは「子供は居るが、自分の人生を楽しみたいので(遺産は残さず)使い切りたい」との意見。
 一人暮らし(将来結婚して子供を設けるという設定)はともかく、二人以上世帯でも14.1%が回答している。
 【高齢者の7割強は「子の世話無しでいいから、財産は自分で使い切る」】(注:下の記事)
と比べれば少数派だが、それでも決して少なくない人が答えているのが分かる。

  念のため時系列データを調べたが、「遺産」に対する考え方はこの数年、直近2011年のそれと比べても大きな変化は無い。
 景気変動や高齢化で遺産への見方も変わってきた、との話もあるが、少なくともその動きは今調査では見受けられない。
 今調査は東日本大地震・震災後に行われたものだが、肉親に対する「遺産」という視点からの想いに変化は生じなかったようだ。
(情報提供:Garbagenews.com)





Garbagenews.com 2010年09月18日
http://www.garbagenews.net/archives/1527871.html

「財産は自分達で使い切る。だから面倒は見てくれなくてもよい」、

 東京スター銀行は2010年9月15日、親世代の資産に関する意識調査の結果を発表した。
 それによると60代の親世代・その子世代にあたる30~40代双方において、
 「親の資産は親が使い切り、代わりに老後も親世代自身で解決する」
意見が多数派を占めていることが分かった。
 ただし子世代の方が多少ながらも、親世代の財産に期待する部分が多いこともうかがえる(【発表リリース、PDF】)。

 今調査は2010年8月27日から28日にかけてインターネット経由で行われたもので、有効回答数は子世代(30~49歳、かつ親が60代でマンションか一戸建てを保有)500人、親世代(60代、子供が30~49歳、かつ自分か配偶者名義で一戸建てかマンションを保有)。
 男女比は非公開。

 【50歳代以上で貯蓄総額の8割強…世帯主の年齢別貯蓄総額分布をグラフ化してみる】
 などにもあるように、年齢階層別の貯蓄・財産・資産保有高の差異が問題視される一方で、その多くを所有する高齢者の財産をいかに使うかに注目が集まっている。
 そこでそう遠くない将来、相続が発生しうる(、かつ今調査母体では具体的な住宅資産を保有している)60代の親世代、そして相続の際には一番遺産を受け取る可能性が高い30・40代の子世代双方に、
 「親世代の財産、使い切る? それとも子供に譲る(相続する)?」
に関して尋ねた結果が次のグラフ。
 選択肢としては
 「財産は渡す、しかも面倒は見なくて良い」
 「財産は渡さない、でも面倒は見ろ」
というパターンもありえるが、選択肢を用意したところで選ばれる可能性は無いに等しく意味も無いので、この4項目となったようだ。


↑ 親世代・子世代における、親世代の財産に関する考え方

 親世代は実に四分の三が
 「財産は自分達で使い切る。だから面倒は見てくれなくてもよい」、
 子世代も三分の二が同様の意見を示していることが分かる。
 言い換えれば、多数の金融資産を抱える高齢者世代では
 「財産を継承するつもりはなく、自分達で最後まで費やす」
とする考えが多数を占めているようだ。
 また、子世代の方がやや
 「財産を譲渡して欲しい。面倒は見るから」
という意見が多いあたり、親世代の財産に期待する面がほんの少しだけ多いこともうかがえる。

 定年退職前後の親世代には、財産継承の意図があまりない。
 これは
 「世代間の資産移動が鈍化する」
 「ライフプランを立てないとやみくもに浪費して家計が破たんするか、必要以上に節約するあまりに資産そのものが死蔵されてしまう」
の3つのリスク(厳密には2つ)を意味することになる。
 個々の世帯では微々たるものだが、積り重なると日本経済全体において少なからぬ影響を与えることになる。
 むしろ昨今の内需低迷や各種格差問題の一部は、この点を起因としているものと考えても間違いではない。

 世帯構成の問題もあわせ、一筋縄ではいかないが、例えば高齢者に向けたライフプランの提供を公共機関が行うなど、解決に向けて手を打たねばならない事柄であることに違いは無い。


■関連記事:
【50歳代以上で貯蓄総額の8割強…世帯主の年齢別貯蓄総額分布をグラフ化してみる】




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