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NICHIGO PRESS 2012年3月28日
http://nichigopress.jp/ausnews/world/36352/
「オーストラリアへの難民希望者は減っている」と国連
国内では未だに人道問題より政治駆け引きの道具
人々が戦乱や抑圧の続く地域から逃れ、豊かで安定した社会を求めてやって来ることは昔からあり、交通や情報の手段の発展に従って広域化してきた。
地球上のどこかに戦乱や抑圧があり、どこかに豊かで安定した社会があるという偏りがある限り、難民が絶えることは考えられない。
3月27日付で国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)が発表した数字で、オーストラリアに渡ってくる難民希望者(訳注:asylum seekers=避難所を求める人ということになるが、refugee=難民として認定されるまでの身分名で、難民申請者、亡命希望者などの訳語もあり、難民希望者はこの記事の訳者の造語)の数は、昨年にはその前年よりも減っていることが明らかになった。
UNHCR報告書では、オーストラリアに渡来する難民希望者数は、2010年には12,640人だったが、2011年には11,510人になっている。
その理由として、特にアフガニスタンから船で領海に入ってくる人の数が減っていることが挙げられている。
しかし、世界全体で見れば、2011年の全難民希望者の人数は、調査対象となっている44か国の総数441,300人で、前年比で20%増えている。
この報告書を受けて、クリス・ボウエン移民相は、
「2011年に難民希望者流入が減っているのはオーストラリアとニュージーランドだけ。
以前から言っているように、オーストラリアに来る難民希望者の比率は、その出身国の事情に関わっている。
世界全体ではアフガニスタンからの難民希望者は30%増えているが、オーストラリアに来る人は45%減っている」
と述べている。
リチャード・トールUNHCR地域担当者が統計に添えた声明で、
「この資料から見るとおり、オーストラリアに渡ってくる難民希望者の数はごく少数であり、他の先進国の事情と比べれば、何の問題もなく受け入れることができるはず。
最近、連邦政府が、難民船で来る人も飛行機で来る人も同一制度で審査すると決めたことは難民申請処理の効率、公正さ、さらに難民受入制度の整合性からも歓迎すべき決定だ」
と述べている。
ボウエン大臣は、
「オーストラリアに渡ってくる難民希望者の数は減っているが、彼らが危険な航海に生命を賭けることを防がなければならないという目標は変わらない」
としている。
しかし、マレーシアとの難民交換協定に固執する政府に対して、ナウル収容所や「難民船追い返し」政策に固執する野党保守連合のスコット・モリソン移民スポークスマンは、
「1年の数字だけでは全体像は見えない。
2010年は難民船が最高だった年、2011年は3位だった年。
これで国境警備が成功しているというのなら、労働党政府の基準は随分低いことになる。
政府は失敗にしがみつき、野党を責めている。
これは政策とはいえない、何もしないことの言い訳だ」
としている。
これに対して、緑の党のセーラ・ハンソン-ヤング議員は、
「この数字は、難民希望者が大挙押し寄せてくるという両陣営の言説が作り話だと言うことを暴露している。
半年の間にオーストラリアに渡ってくる難民希望者の数は、週末にイタリアに渡ってくる人数と変わらない」
と与野党双方を批判している。(AAP)
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